キオクシア社員のSO利益 Stacy Smith 575億円 第8期有報速報 アイキャッチ
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キオクシア社員は実際いくら儲かった?会長Stacy Smithは推定最大575億円・早坂前社長はなぜ動かない 第8期有報SO速報

以前書いたキオクシアSO記事の続編として、2026年6月24日に提出された第8期有価証券報告書(2025年4月〜2026年3月)を読んでわかったことをまとめます。

前回記事(第7期有報ベース)から大きく状況が変わっていた。

①SO行使が急加速(第8期有価証券報告書内 p.45)

前回(第7期末・2025年3月)と今回(第8期末・2026年3月)の各回SO残存数を比較した。

付与対象者第7期末(2025/3)第8期末(2026/3)行使済み
(1年間)
第1回(行使価額1,667円)当社取締役1名・執行役員及び従業員33名・子会社役員等584名106,797個62,322個▲44,475個(267万株)
第2回(行使価額1,667円)当社取締役2名・執行役員4名・子会社役員等84名74,745個28,631個▲46,114個(277万株)
第4回(行使価額1,667円)当社執行役員及び従業員・子会社役員及び従業員2,116個1,203個▲913個
第7回(行使価額1,667円)当社子会社の役員及び従業員4,195個1,073個▲3,122個
第9回(行使価額2,600円)当社取締役9,660個2,990個▲6,670個

確認できた回だけで合計約101,000個(607万株)が1年間で行使されている。

特に第1回・第2回の消化が激しく、なんと第2回は元の6割以上がなくなっている!

さらに有報提出日の前月末(2026年5月31日)時点では追加の行使が進んでます。

  • 第1回:62,322個 → 55,123個(2ヶ月で▲7,199個)
  • 第2回:28,631個 → 19,052個(2ヶ月で▲9,579個)

IPO直後から行使が始まり、2025〜2026年にかけてペースが加速していることが確認できる。

【気になる点】①で行使した人たちはいくら儲かったのか!!

有報から以下の数字が確認できた。

  • 第8期のSO行使による新株発行:6,728,880株
  • 行使代金として会社に払い込まれた総額:約120億円
  • 平均行使価額:120億円 ÷ 6,728,880株 ≈ 約1,793円/株
  • 同期間の株価レンジ:最低1,510円〜最高24,420円

行使したタイミングによって儲けは変わるが試算するとこうなる:

売却価格の想定1株あたり利益6,728,880株の合計
平均的なタイミング(約12,000円)約10,200円約690億円
最高値付近(24,420円)で売却約22,600円約1,520億円

ざっくり言えば第8期に行使した全員合計で数百〜1,500億円規模の利益が出ている可能性がある。

では1人あたりは。招集通知(第8期)の関連当事者取引から個人別の行使額が確認できた。

人物行使代金(会社への払込)推定行使株数利益試算(平均12,000円)利益試算(最高24,420円)
Stacy Smith(会長)4,555百万円(45.6億円)約254万株約259億円約575億円!!
早坂伸夫(前社長)24百万円(2,400万円)約1.3万株約1.4億円約3億円
その他役員・従業員残り分約419万株約427億円約948億円

注目ポイントが2つある。

  • Stacy Smithが圧倒的な主役:全行使の約38%がStacy Smith1人分。利益だけで数百億円規模
  • 早坂氏はほぼ動いていない:保有372,600株のうち行使したのはわずか約13,000株(約3.5%)。控えめといってよいか?(笑) 残り96.5%は含み益約352億円のまま温存中

ではStacy Smith・早坂氏を除く「その他」419万株は何人が行使したのか。

付与時の人数(第1回618名・第2回88名など計700名超)から仮に退職者を差し引くと300〜500名程度と推定してみる。その人数で割ると:

想定残存人数1人あたり平均行使株数利益試算(平均12,000円)
300人約14,000株約1.4億円/人
400人約10,500株約1.1億円/人
500人約8,400株約0.9億円/人

キオクシアの一般従業員・子会社役員クラスでも1人あたり数千万〜1億円超の利益が出ている計算!

これなら夢ありますね(笑)

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さらに面白い話が。

第8期中の最高株価は24,420円だが、現在(2026年6月)の株価は約96,000円

つまり第8期に最高値24,420円で売り切った人は大儲けだが、もし今まで待っていればさらに約4倍になっていた。最高値で売った人でも「早まったな」と思っているかも。

一方、まだ行使していない保有者(早坂前社長の372,600株など)は今も行使価額1,667円に対して96,000円という含み益を抱えている。

早坂氏の未行使分だけで約352億円の含み益。。SO行使のタイミングは永遠の難問。


②株式増加の原因はSO行使だけではない(p.61)

発行済み株式数の推移:

時点発行済み普通株式数
IPO前517,500,000株
IPO後(新株発行)539,062,500株
2025年3月31日(第7期末)539,355,180株
2026年3月31日(第8期末)546,086,290株
2026年6月24日(提出日現在)547,242,648株

前回の記事では「発行済み株式の増加=SO行使」と書いたが、第8期有報の注記にはこう明記されていた:

「普通株式並びに資本金及び資本準備金の増加は、新株予約権行使及び事後交付型株式制度に基づく新株発行によるものであります」

事後交付型株式制度とはRSU・PSU(株式報酬)のことで、簡単に言うと:

  • RSU(Restricted Stock Unit):「一定期間働き続けたら株式を渡す」制度。自分で買わなくていい、勤続インセンティブ型
  • PSU(Performance Share Unit):「業績目標を達成したら株式を渡す」制度。目標達成度によって交付株数が変わる、業績連動型

SOとの違いは、SOが「株を買う権利(行使価額を自分で払う)」なのに対し、RSU/PSUは「株をもらえる制度(自己資金不要)」。

キオクシアは2025年6月の定時株主総会でこれを新たに導入していた。

つまり第7期末以降の株式増加はSO行使とRSU/PSU両方が原因であり、どちらがどれだけかは有報からはわからない。前回記事の「不明」という表現が正しかった。

③ベイン&東芝が「相当数」の株式を売却していた(p.31・p.63)

有報のリスク項目(p.31)に以下の記載があった:

「東芝は、当社の上場時及び上場後において所有する当社株式の一部を売却しておりますが、現時点においても相当数の当社株式を保有することにより(中略)当社の経営等に影響を及ぼす可能性があります」

大株主テーブル(p.63)の第7期末→第8期末の比較:

株主第7期末(2025/3)第8期末(2026/3)
株式会社東芝147,067,200株(27.25%)約96,050,000株(17.59%)
BCPE Pangea Cayman, L.P.77,400,000株(14.34%)77,400,000株(14.17%)
BCPE Pangea Cayman248,489,780株(8.98%)約26,790,000株(4.91%)
BCPE Pangea Cayman 1A30,998,220株(5.74%)約20,435,000株(3.74%)

東芝は約5,100万株を売却(27.25%→17.59%)。ベインも一部の法人(SPC)が大幅に保有比率を下げている。一方BCPE Pangea Cayman, L.P.は株数をほぼ維持しており、傘下の法人によって売却ペースが異なる。

①②③から何がわかるか・今後の見通し

①SO行使急加速 → 2029年より前に売り圧力が集中しそう

第1回・第2回の消化ペースを見ると、2025年4月〜2026年5月の約1年2ヶ月で第2回だけで約55,000個(330万株)が行使された。このペースが続けば、2029年の期限を待たず2027〜2028年頃には主要な回のSOが概ね消化されるのでは。

一方、大量行使は「会社をよく知るインサイダーが株を売っている」というシグナルでもある。SOを行使して売るのは役員・従業員、つまり自社の業績・競合状況・経営計画など一般投資家には見えない情報を知っている人たち。

もし彼らが「これからもっと上がる」と確信しているなら今すぐ売らずに待つはず、という論理でインサイダー売りはネガティブシグナルとして見られることがある。

ただし以下の反論もあり、必ずしも悲観的な意味ではないです

  • 単純な利確:行使価額1,667円に対して株価96,000円という約58倍の含み益があれば、会社の見通しに関係なく「十分儲かったから売る」という判断は極めて合理的!
  • 個人の資産分散:資産のほぼ全てが一社の株式に集中している状態はリスクが高い。会社への悲観ではなく個人的なポートフォリオ管理のために売っているだけという場合も
  • 事前計画による機械的売却:インサイダー規制対策として事前に売却スケジュールを決めておき、それに従って機械的に売っているだけという場合もある。その時点の相場観とは無関係

インサイダー売りと会社業績への見通しは分けて考える必要があり、「売っている=会社が危ない」と単純に結びつけるのは早計です

②RSU/PSU導入 → 希薄化圧力はSOが消化されても続く

2025年6月に導入されたRSU/PSUは今後も役員・従業員への報酬として毎年株式を交付し続けるはず。SOの行使が終わっても、RSU/PSUによる新株発行が株式増加の原因になり続けるため、希薄化圧力は構造的に継続する

ただしRSU/PSUは業績連動・勤続連動の設計であり、経営陣に株価を高く維持するインセンティブを与える仕組みでもある。単純な希薄化ではなく、ガバナンスの強化という側面も。

③ベイン&東芝の大量売却 → 売っても上がった=需要は強い

東芝が約5,100万株、ベインの一部法人も数千万株規模を売却した2025〜2026年に、株価はIPO価格1,455円から96,000円まで上昇している。これだけの売り圧力があっても株価が上がったという事実は、市場側の買い需要(主に機関投資家・AI/半導体テーマへの資金流入)がそれを大きく上回ったことを意味する。

一方、東芝にはまだ約9,600万株(17.59%)、ベイン傘下法人にも相当数が残っており、今後も段階的な売却が続くとみられる。大株主の持ち分解消が続く間は、潜在的な売り圧力として意識しておく必要がある。

総合的な見通し

株価の動向はNAND価格・AI需要・半導体市況などファンダメンタルズが主役であり、SO/RSU/ベイン売却はあくまで需給面の圧力要因の一つ。

📚 半導体戦争(クリス・ミラー著)|NAND市況とAIブームがなぜキオクシア株を押し上げたのか、半導体産業の地政学を平易に解説した世界的ベストセラー。

ただし以下のタイミングは需給悪化リスクとして注意が必要:

  • 2026年夏以降:早坂前社長がインサイダー規制の制約から解放されるタイミング
  • 2027〜2028年:SO行使ペースが加速し、期限前の駆け込みが重なる可能性
  • 2029年3月11日:全SOの最終期限。これ以降はSO由来の売り圧力は消滅する

2029年3月以降はSO由来の売り圧力が完全になくなるという意味で、長期保有の観点からはこの期限通過後が一つのターニングポイントになりうる。

まとめ

  • SO行使は第7期から第8期にかけて急加速。第1回・第2回だけで計600万株超が1年間で行使された
  • 株式増加の原因はSO行使だけでなくRSU/PSU(事後交付型株式制度)も含むと有報で確認
  • 東芝が約5,100万株を売却(持ち分27%→18%)。ベイン傘下の一部法人(SPC)も保有比率が低下
  • 残存SOはまだ相当数あり、2029年3月11日の行使期限に向けて売り圧力は続く見込み

第8期有報はEDINETで「E35948」を検索すると無料で閲覧できます。

本記事は公開情報をもとにした一般的な情報整理であり、投資助言ではありません。


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